: あきのぷれぜんと : 「どらぁ!!」 「おれさまのびぎによいな!」 秋になりました。 でも、ここ、氷帝学園幼少部はいつもの様に声が響きます。 中でも今日は、景吾くんと亮くんが元気いっぱいです。 園庭の少し東側。そこは、綺麗な花が咲いていて、女の子達に人気のある場所。 季節変わりには、お庭いっぱいに季節が感じられます。 そして、秋にとっても素敵なプレゼントをしてくれるのが、花壇の隣にあります。 大人から見るとそこまで大きくはありません。 しかし、小さな子供達にはとっても大きな畑。 そこには、秋の代表とも言える『さつまいも』がいっぱい。 そう、今日は氷帝学園幼少部のさつまいも掘りの日なんです。 中心は、景吾くんと亮くん。 始めは乗り気でなかった景吾くんですが、いつものように… 「おれがいちばんおおきいいもほるぜー!」 と亮くんが叫んだ途端でした。 「はっ!おれさまにかてるかよ!」 一番が好きな景吾くん。行き成り、先陣を切りました。 そして、今。 他の子供達もバラバラに分かれて、楽しそうにおいもを掘っています。 「わ〜!すっげーすっげー!」 大声で蔓を引っ張っているのは、ジローくん。 自分よりも大きな長い蔓を振り回しています。 「じろー、いもほれよ!」 「はっぱがいいん?」 隣で岳人くんと侑士くんがせっせと、スコップで土を掘っています。 ジローくんは聞こえているのか、そうでないのか… 目をきらきらさせています。 まあ、いいかー…と侑士くんもそのまましています。 その時… 「いった…い…よぉ!ぐすぐす……わぁ〜ん!!」 声を出したのは、萩之介くん。 いつもは大人しく、皆の面倒を見てくれる萩之介くん。 でも、とっても強くて泣かないのですが… 「たき!だいじょうぶか!?」 「たーき!」 「たき!」 近くにいた侑士くん、岳人くんとジローくんが駆け寄ります。 萩之介くんに、どうやら砂が掛かったようです。 侑士くんは辺りを見回し叫びます。 「だれや!たきにすな、かけたんわ!」 「おした…り…こっち……」 その時、滝が指差した方向には… 「あとべ!ししど!!」 その声に振り向く二人。 その顔はなんだか、ちょっと気まずそう。 「だってよ!あとべがおれがぬいてるやつをひっぱって…!」 「なにいったんだ!ばか!おまえが…!」 「つーか、わざとじゃねーし!」 「たまたまだ、たまたま。」 ふたりは喧嘩しそうな雰囲気。 それを聞いた侑士くんは、なんだか今にも飛び掛りそうです… 先生達も止めに入ろうかとした時でした。 バコッ…!! 「いってぇ!!だれだ!!」 亮くんの頭におおきなおいも。 その方向から、見慣れた顔がふたつ。 「ごめんなさーい!」 「…ったく。なんでとばすんだよ。」 一つ下の長太郎くんと若くんです。 長太郎くんは半分泣きそうです。 亮くんは頭を抑えながら、長太郎君を見ます。 「ちょうーたろー…!」 「ごめんなさいっ!ししどせんぱい…!  おれ、なげちゃって…わかにおこられちゃって…あてちゃって…」 長太郎くんの叫びに亮くんは、たいしたことね−よ!と言いました。 可愛い弟の様な長太郎くんに、泣かれたくないからです。 そこに侑士くんが来て、長太郎くんの頭を撫でました。 その顔はとっても嬉しそう。 「ちょうたろうはいいこやなー。すぐにあやまれるもんなー。」 その声に、景吾くんと亮くんの目が大きく開きました。 侑士くんの横には、泣き止んだ萩之介くん。 特に怒りもせず、長太郎くんを見ていました。 ふたりは顔を見合わせると… 「「たき!ごめんっ!!」」 頭を下げて叫びました。 二人が顔をあげると、萩之介くんはびっくりした顔。 でも、直に笑って言ってくれました。 「だいじょうぶ、もういたくないから。きにしないで。」 その言葉に景吾くんと亮くんは、嬉しそうに笑いました。 そして、ふたりは持っていた1番大きなお芋を萩之介くんにあげました。 萩之介くんは驚いたけど、それを見て、ありがとう、と言って貰いました。 「ウスッ!」 大きな声で両手に焼き芋を持って来たのは、宗弘くん。 数は9つ。勿論、仲良しの人数。 「わぁ〜!ありがとう!かばじ!!」 ジローくんがお礼をすると、みんな一緒に、 「ありがとー!」 と言いました。 樺地くんは嬉しそう。 「たき!これがおおきいぜ!」 「たき!おれさまのほった、いもくえよ!」 なんだか、とっても優しい景吾くんと亮くん。 そんな二人を見て、岳人くんと長太郎くんが首を傾げます。 侑士くんは嬉しそうです。 若くんは溜息ですが、なんだか嬉しそう。 みんなでお芋を食べるなんて、今だけだね。 ワザとじゃなくても、謝って許してくれる。 景吾くんと亮くんはまたひとつ、お兄ちゃんになりました。 あきからのぷれぜんとは、お芋だけじゃなかったね。 END. * 久々に幼少部です!   ちょっと時期が早いかなーと思いましたが、芋掘りをさせてみました。   萩之介くんも泣くのです。びっくりして。亮くんと景吾くんは、きっとなかなか謝らない。      季節ものやっぱ、いいですね!   04/09/04

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